消費税率引上げへの対応 契約時の対応編 - 2014-01-23 - ククログ

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消費税率引上げへの対応 契約時の対応編

はじめに

10月に消費税率引上げへの対応を書いたところ多くのアクセスをいただきありがとうございます。前回の記事の時点では、2014年4月1日の消費税率引上げの日をまたいだ契約はそれほどありませんでした。しかし、この3ヶ月間で締結した契約のほとんどが2014年4月1日をまたぐもので、取引先ごとの消費税率引き上げへの対応がまちまちで調整に時間がかかりました。例えばまだ社内システムが消費税率8%に対応していないので、8%での支払いはできないケースや、2014年3月31日までの支払い分はすべて5%とするケースなどがありました。そこで今回はこのような取引先の事情にあわせて、クリアコードがとった対応を紹介します。

インシデントサポート契約について

今回題材にするのはインシデントサポート契約です。この契約はフリーソフトウェアのサポートを時間制で提供するものです。サポート対象のフリーソフトウェアはmilter managerやMozilla Firefox,Thunderbird、GStreamerなどです。契約内容は期間1年で、たとえば最大30時間まで障害解析など問合せに対応します。価格は消費税別で30万円となります。 このインシデントサポート契約は、契約期間中に作業時間が30時間に達するとその時点で契約終了になります。またサポート依頼がいつ発生するかは契約時には不明で、契約当初に集中することもあれば、毎月ぽつぽつ発生することもあります。作業量が毎月一定ではないため、売上は契約終了時に全額を計上することにしています。もっとも一般的な保守契約であれば、年間保守料を12等分した金額を毎月売上計上するのが通例です。よって、このインシデントサポート契約はサポート契約という名称ではあるものの、契約満了時に一括して売上計上する点において受託開発的な契約と言えます。なお、契約金額の支払い条件は契約開始月末締め翌月末振込を基本としています。たとえば契約開始日2014年1月6日の契約を、2013年12月27日に受注した場合、2014年2月28日支払期日の請求書を2014年1月31日に発行します。

消費税率改定への対応事例

では、インシデントサポート契約の締結にあたって、消費税率引上げに対する取引先の事情を考慮してどのような対応(条件の変更)を行ったのか、事例を紹介していきます。

消費税率8%で前払いとする 契約が3月31日までに終了した場合は3%の差額を返金する

これまでどおりの支払い条件を踏襲した場合は、消費税率8%で前払いとなります。ただし契約が2014年3月31日までに終了した場合は、2014年4月1日をまたいだ契約とならないので5%を適用します。2014年3月31日までの契約にも関わらず8%分の消費税を受け取ったままというわけにはいきません。そのため、もし2014年3月31日までに契約が終了した場合は3%の差額を4月1日以降に返金することにします。このような消費税返金の条件は請求書に次のように記載しています。返金する場合はお客さまから振込先を通知していただく目的で請求書を発行してもらうことにしています。

  • 2014年3月31日時点で契約が終了している場合は、消費税率5%を適用します。この場合、消費税の差額9,000円を5月30日に返金いたします。その際は消費税差額の請求書を2014年4月30日までにお送りください。

消費税率5%で前払いとする 契約が3月31日を超えた場合は3%の差額を4月1日に請求する

もっとも多いのがこのパターンです。大手企業では2014年3月31日までに請求する場合は、2014年4月1日以降の部分も5%で消費税額を計算し、2014年4月1日以降に8%と5%の差額を請求するよう求めているところが多いようです。まだ消費税率引上げへのシステム対応が完了していないお客さまも、消費税率8%で支払うことが困難なため、一旦5%で支払うこの方法を選択されています。このお客さまの場合、8%で後払いにすることも検討されました。しかしお客さまがサポート契約を再販しており、後払いにすることによって下請法違反になることがわかったため、5%で前払いする方法を選択されました。下請法については、公正取引委員会のサイトで詳しく紹介されています。 なお、クリアコードが発行する請求書には消費税の取扱について次のように記載しています。

  • 2014年4月1日時点で契約が終了していない場合は、消費税率8%を適用します。この場合、消費税の差額9,000円を5月末にお支払いいただきます。なお、消費税差額の請求書は2014年4月30日に発送します。

消費税率8%で後払いとする 契約が3月31日までに終了した場合は5%を適用する

インシデントサポートを自社で利用する場合は、下請法の心配はありませんので、後払いで問題ありません。消費税率改定のシステム対応がまだのお客さまはこの方法を選択されています。請求書は契約終了時に発行します。消費税額は契約終了時の消費税率で計算するだけなのでもっとも手間がかかりません。

契約を3月31日までと4月1日からの2本に分割する

消費税率が5%か8%か確定しない契約はできないというお客さまの場合、契約期限を2014年3月31日で一旦切らなければなりません。そのため2014年1月から3月末まで3ヶ月間10インシデントの契約と2014年4月1日から2014年12月末まで9ヶ月20インシデントの2本の契約に分割しました。しかしこの方法は大きなデメリットがあります。例えば2014年2月28日までに10インシデントを使いきってしまうと、1本目の契約は終了してしまいます。そのため2014年3月にサポート依頼をするためには、再度2014年3月31日までの契約を締結しなければなりません。短い期間で複数の契約を締結するのはお客さまクリアコード双方の事務コストが大きくなってしまいます。

まとめ

今回は、インシデントサポート契約を例に、消費税率改定への対応のため、契約条件をどのように変更したのかを紹介しました。下請法を考慮すると後払いにできないということがわかった時はひやっとしました。前払いから後払いへの変更は受注する側にとって契約条件の不利な変更です。あやうくお客さまを下請法違反にしてしまわないよう注意が必要です。また一度支払い条件を変更すると、もとの条件に戻すことは容易ではありません。不利な条件へ変更する場合は、手許現金の減少など自社の財務内容への影響もあるので、慎重に判断することをおすすめします。