2010年1月29日付で、テスティングフレームワークUxUのバージョン0.7.6をリリースしました。
utils.wait()について今回のアップデートでの目玉となる新機能は、非同期な機能のテストをより簡単に記述できるようにするヘルパーメソッドであるutils.wait()です。これは、以下のように利用します。
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function testSendRequest() { myFeature.sendRequest(); utils.wait(1000); // 1000ミリ秒=1秒待つ assert.equals('OK', myFeature.response); } function testLoad() { var loaded = { value : false }; content.addEventListener('load', function() { content.removeEventListener('load', arguments.callee, false); loaded.valeu = true; }, false); myFeature.load(); utils.wait(loaded); // valueがtrueになるまで待つ assert.equals('OK', content.document.body.textContent); } |
また、utils.wait()は関数の中でも利用できます。
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function testSendRequest() { function assertSend(aExpected, aURI) { myFeature.sendRequest(aURI); utils.wait(1000); assert.equals(aExpected, myFeature.response); } assertSend('OK', '...'); assertSend('NG', '...'); assertSend('?', '...'); } |
utils.wait()が受け取れる値は、これまでの処理待ち機能で yieldに渡されていた値と同じです。詳しくは処理待ち機能の利用方法をご覧下さい。大抵の場合、yield Do(...);と書かれていた箇所は、utils.wait(...);へ書き換えることができます。
ただし、このヘルパーメソッドはFirefox 3以降やThunderbird 3以降など、Gecko 1.9系の環境でしか利用できません。Thunderbird 2などのGecko 1.8系の環境ではエラーとなりますのでご注意下さい。(それらの環境でもテストの中で処理待ちを行いたい場合は、従来通りyieldを使用して下さい。)
これまでUxUでは、「機能を実行した後、N秒間待ってから、機能が期待通りに働いたかどうかを検証する」「初期化処理で、ページの読み込みの完了を待ってから次に進む」といった処理待ちを実現する際は、JavaScript 1.7以降で導入されたyieldを使う仕様となっていました。
yieldを含む関数はジェネレータとなり、関数の戻り値をイテレータとして利用できるようになります。この時ジェネレータの内側から見ると、「yieldが出現する度に処理が一時停止する」という風に考えることができます。
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function gen() { alert('step1'); yield 'step1 done'; alert('step2'); yield 'step2 done'; alert('step3'); } var iterator = gen(); // この時点ではまだ関数の内容は評価されない var state; state = iterator.next(); // 'step1' が表示される alert(state); // 'step1 done' が表示される state = iterator.next(); // 'step2' が表示される alert(state); // 'step2 done' が表示される try { state = iterator.next(); // alert('step3'); が実行される } catch(e if e instanceof StopIteration) { // 次のyieldが見つからないので、StopIteration例外が投げられる } |
UxUに従来からある処理待ち機能は、この考え方を推し進めて作られています。テスト関数の中にyieldがある場合(つまり、関数の戻り値がイテレータとなる場合)は、フレームワーク側で自動的にイテレーションを行い、yieldに渡された値をその都度受け取って、次にイテレーションを行うまでの待ち条件として利用しています。例えば、数値が渡された場合はその値の分の時間だけ待った後で次にイテレーションを行う、といった具合です。
このやり方の欠点は、yieldを含む関数から任意の戻り値を返すことができないという点です。
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function gen() { alert('step1'); yield 'step1 done'; alert('step2'); return 'complete'; } try { var iterator = gen(); } catch(e) { alert(e); // TypeError: generator function gen returns a value } |
returnを書くと、関数の実行時にエラーになってしまいます。どうしても何らかの値を取り出したい場合は、値を取り出すためのスロットとなるオブジェクトを引数として渡すなどの工夫が必要になります。
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function gen(aResult) { alert('step1'); yield 'step1 done'; alert('step2'); aResult.value = 'complete'; } var result = {}; var iterator = gen(result); var state; state = iterator.next(); // 'step1' が表示される alert(state); // 'step1 done' が表示される try { state = iterator.next(); // 'step2' が表示される } catch(e if e instanceof StopIteration) { alert(result.value); // 'complete' が表示される } |
また、ジェネレータは実行してもその段階では関数の内容が評価されないという点にも注意が必要です。例えば以下のようなテストは、期待通りには動いてくれません。
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function testSendRequest() { function assertSend(aExpected, aURI) { myFeature.sendRequest(aURI); yield 1000; assert.equals(aExpected, myFeature.response); } assertSend('OK', '...'); assertSend('NG', '...'); assertSend('?', '...'); } |
この例では、assertSend()を実行したことで戻り値としてイテレータが返されているものの、そのイテレータに対するイテレーションが一切行われていないため、リクエストも行われなければアサーションも行われないということになってしまっています。これは以下のように、返されたイテレータをそのままフレームワークに引き渡して、フレームワーク側でイテレーションを行わせる必要があります。
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function testSendRequest() { function assertSend(aExpected, aURI) { myFeature.sendRequest(aURI); yield 1000; assert.equals(aExpected, myFeature.response); } yield assertSend('OK', '...'); yield assertSend('NG', '...'); yield assertSend('?', '...'); } |
また、このままではジェネレータの中で発生した例外のスタックトレースを辿れないという問題もあります。スタックを繋げるためには、ヘルパーメソッドのDo()を使ってyield Do( assertSend('OK', '...') )のように書かなければなりません。
utils.wait()を使う場合、これらのことを考慮する必要はありません。冒頭のサンプルコードのように、素直に書けば素直に動作してくれます。
utils.wait()がどのように実装されているかについても解説しておきます。
このメソッドの内部では、Gecko 1.9から実装されたスレッド関連の機能を利用しています。
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window.setTimeout(function() { alert('before'); }, 0); alert('after'); |
JavaScriptは基本的にシングルスレッドで動作するため、このようにタイマーを設定すると、その処理はキューに溜められた状態となります。その上で、メインの処理が最後まで終わった後でやっとキューの内容が処理され始めるため、この例であれば「after」「before」の順でメッセージが表示されることになります。
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var finished = false; window.setTimeout(function() { alert('before'); finished = true; }, 0); var thread = Cc['@mozilla.org/thread-manager;1'] .getService() .mainThread; while (!finished) { thread.processNextEvent(true); } alert('after'); |
Gecko 1.9以降のスレッド機能を使うと、メインの処理を一旦中断して先にキューに溜められた処理の方を実行し、その後改めてメインの処理に戻るということができます。実際に、こちらの例では「before」「after」の順でメッセージが表示されます。UxU 0.7.6ではこれを応用して、任意の条件が満たされるまでthread.processNextEvent(true);でメインの処理を停止し続けることによって、処理待ちを実現しています。
なお、HTML5にもWeb Workersというスレッド関係の機能がありますが、こちらは別スレッドでスクリプトを動作させる機能しか持っていないため、上記のようなことは残念ながらできません。
UxU 0.7.6からは、utils.wait()を使ってより簡単に処理待ちを行えるようになりました。Firefox 3以降やThunderbird 3以降専用にアドオンを開発する際には、是非利用してみて下さい。
2009年10月30日付で、テスティングフレームワークUxUのバージョン0.7.5をリリースしました。
UxUはこれまで「Firefoxアドオン開発用テスティングフレームワーク」と銘打っていましたが、Thunderbird用アドオンの開発にも利用されていることと、バージョン0.7.0以降からXULRunnerベースのアプリケーション一般に対してインストール可能なようになったことから、現在のプロジェクトページ上では「Firefox/Thunderbird用アドオン・XULRunnerアプリケーション開発用テスティングフレームワーク」と表記しています。
バージョン0.7.0以降で、UxUはデータ駆動テストの記述に対応しました。今回はUxUでのデータ駆動テストの記述方法の解説を通じて、データ駆動テストの利便性についてご紹介したいと思います。
このエントリ内の目次:
データ駆動テストとは、簡単に言えば、「テストのロジックとデータを分離した自動テスト」の事です。データ駆動テストの利点を理解していただくために、データ駆動テストではないテストの例もいくつか挙げながら、それぞれの利点と欠点を見ていきましょう。
以下は、XUL/Migemoという「ローマ字入力で普通の日本語の検索を行う」アドオンの中の、半角英数字によるローマ字入力をひらがなに変換するモジュールのテストの一部です。
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function test_roman2kana() { assert.equals('あいうえお', transform.roman2kana('aiueo')); assert.equals('aiueo', transform.roman2kana('aiueo')); assert.equals('がぎぐげご', transform.roman2kana('gagigugego')); assert.equals('にほんご', transform.roman2kana('nihongo')); assert.equals('ぽーと', transform.roman2kana('po-to')); assert.equals('きゃっきゃ', transform.roman2kana('kyakkya')); assert.equals('うっうー', transform.roman2kana('uwwu-')); assert.equals('\\(\\)\\[\\]\\|', transform.roman2kana('\\(\\)\\[\\]\\|')); assert.equals('\\(\\[', transform.roman2kana('\\(\\[')); assert.equals('\\)\\]', transform.roman2kana('\\)\\]')); assert.equals('\\|', transform.roman2kana('\\|')); } |
このモジュールのroman2kana()メソッドは、半角英数字のローマ字入力をひらがなに変換し、それ以外の入力はそのまま返すという仕様になっています。この仕様通りに動作するかどうかを検証するため、ここでは11種類の引数を渡し、戻り値をassert.equals()で検証しています。検証しないといけないパターンが増えた時には、行をコピーして引数と期待値の部分を書き換えることになります。
パッと見て分かるかと思いますが、このテスト用コードには以下のような問題があります。
「テストのロジック」と「テストしなければいけないデータ」が一緒に記述されているため、メンテナンス性が低いコードになってしまっていると言えます。
このようなテストのメンテナンス性を高めるための方法の1つとしては、アサーションを行う部分を関数としてまとめておくというやり方が考えられます。例えば以下の要領です。
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function test_roman2kana() { function oneTest(aExpected, aInput) { assert.equals(aExpected, transform.roman2kana(aInput)); } oneTest('あいうえお', 'aiueo'); oneTest('aiueo', 'aiueo'); oneTest('がぎぐげご', 'gagigugego'); oneTest('にほんご', 'nihongo'); oneTest('ぽーと', 'po-to'); oneTest('きゃっきゃ', 'kyakkya'); oneTest('うっうー', 'uwwu-'); oneTest('\\(\\)\\[\\]\\|', '\\(\\)\\[\\]\\|'); oneTest('\\(\\[', '\\(\\['); oneTest('\\)\\]', '\\)\\]'); oneTest('\\|', '\\|'); } |
コードの冗長さが減りました。また、メソッド名や引数の取り方が変わった時も、変更が必要な箇所は1箇所だけになりました。
これでも悪くはないのですが、実際にテストを繰り返し走らせていると、以下のような問題が浮き彫りになってきます。
例えば以下のようなシナリオが考えられます。
「3の段階で行った修正で5や8のバグが発生した」という可能性もありますが、最初から2や5や8のバグがあったのであれば、まとめて直せていたかもしれません。これでは、バグを直しても直してもきりがないという、モグラ叩きのような感覚に陥ってしまいます。
メンテナンス性を高める別の手法として、アサーションに使う期待値とメソッドに渡す引数だけを配列で別途定義しておくというやり方も考えられます。
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function test_roman2kana() { var patterns = [ ['あいうえお', 'aiueo'], ['aiueo', 'aiueo'], ['がぎぐげご', 'gagigugego'], ['にほんご', 'nihongo'], ['ぽーと', 'po-to'], ['きゃっきゃ', 'kyakkya'], ['うっうー', 'uwwu-'], ['\\(\\)\\[\\]\\|', '\\(\\)\\[\\]\\|'], ['\\(\\[', '\\(\\['], ['\\)\\]', '\\)\\]'], ['\\|', '\\|'] ]; for each (var pattern in patterns) { assert.equals(pattern[0], transform.roman2kana(pattern[1])); } } |
これにもやはり問題があります。
1つ目の問題点については前述したとおりです。
2つ目の問題は、この例のように2次元配列を使った場合に現れます。上記の例では配列の0番目の要素が期待値、1番目の要素が入力となっていますが、これではどっちがどっちなのかを常に意識する必要があります。
3つ目は、ループに特有の問題です。UxUではテストにfailした時にスタックトレースが表示され、べた書きした場合や関数を使った書き方の場合であれば、スタックトレースを辿れば「どのパターンで失敗したのか」の情報に辿り着くことができます。しかし、ループを使っていると、スタックトレースの行き着く先はループの中になってしまうため、どのパターンに対して失敗したのかが一目では分からなくなってしまいます。
この対策として、UxUのアサーションでは最後の引数として任意のメッセージを渡せるので、以下のようにして「どのパターンで失敗したのか」を表示させることは可能です。
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assert.equals(pattern.expected,
transform.roman2kana(pattern.input),
pattern.input+'に対するテスト');
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しかし、実際にたくさんテストを書くようになってくると、これが地味に面倒です。これが4つ目の問題点です。
べた書きした場合や関数を使った書き方の場合であれば、このような配慮なしに淡々とテストを書いていても、テスト実行時にはスタックトレースを辿ればデバッグに必要な情報を得られます。それなのに、ループに対してはこのような配慮をしなければいけないわけです。この面倒さによって、テストを新しく書いたり過去に書いたテストをメンテナンスしたりする意欲がじわじわと削がれてしまう、というのが一番の問題点だと言えます。
UxU 0.7.0以降で導入されたデータ駆動テストの仕組みを使うと、上記のテストはこのように書くことができます。
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test_roman2kana.parameters = utils.readParametersFromCSV('patterns.csv'); function test_roman2kana(aParameter) { assert.equals(aParameter.expected, transform.roman2kana(aParameter.input)); } |
テスト用のコードにはロジックだけを書き、データは外部ファイルで定義します(後述しますが、テストケース内にデータを埋め込むこともできます)。データを定義しているファイルの形式はCSVです。
| input | expected | |
| 半角英数 | aiueo | あいうえお |
| 全角英数 | aiueo | aiueo |
| 濁音のみ | gagigugego | がぎぐげご |
| 濁音混じり | nihongo | にほんご |
| 音引き | po-to | ぽーと |
| 拗音 | kyakkya | きゃっきゃ |
| 撥音 | uwwu- | うっうー |
| paren | \\(\\)\\[\\]\\| | \\(\\)\\[\\]\\| |
| parenOpen | \\(\\[ | \\(\\[ |
| parenClose | \\)\\] | \\)\\] |
| pipe | \\| | \\| |
この時、UxUは「test_roman2kana」という1つのテストではなく、「test_roman2kana (半角英数)」「test_roman2kana (全角英数)」……という名前の11個のテストを実行するようになります。
このように、データ駆動テストには多くのメリットがあります。単純な入出力のパターンを数多く検証しなければいけない場面で、データ駆動テストは威力を発揮します。
UxUでは、テスト関数のparametersプロパティに配列またはハッシュを代入すると、そのテストをデータ駆動テストとして実行するようになります。この時テスト関数には引数として、parametersプロパティの配列またはハッシュの要素が1つずつ渡されます。
以下は、配列を指定した場合の例です。
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test_someFunc.parameters = [
{ expected : '29', input : 'niku' },
{ expected : '2929', input : 'nikuniku' },
{ expected : '029', input : 'oniku' }
];
function test_someFunc(aParameter) {
/*
1回目: aParameter = { expected : '29', input : 'niku' }
2回目: aParameter = { expected : '2929', input : 'nikuniku' }
3回目: aParameter = { expected : '029', input : 'oniku' }
*/
...
}
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ハッシュを指定した場合は、以下のようになります。ハッシュのキーはテスト関数には渡されず、結果を表示する時のテスト名として表示されます。
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test_someFunc.parameters = {
simgle: { expected : '29', input : 'niku' },
double: { expected : '2929', input : 'nikuniku' },
o: { expected : '029', input : 'oniku' }
};
function test_someFunc(aParameter) {
/*
1回目: aParameter = { expected : '29', input : 'niku' }
2回目: aParameter = { expected : '2929', input : 'nikuniku' }
3回目: aParameter = { expected : '029', input : 'oniku' }
*/
...
}
|
データ駆動テストのサポートに併せて、いくつかの新しいヘルパーメソッドが追加されています。これらを使うことで、データ駆動テストをより簡単に作成・メンテナンスすることができます。
前述の例で使用しているutils.readParametersFromCSV()は、CSVファイルの内容を読み込み、最初の行のカラム名をキーとしたハッシュとして返します。例えば前述の例のCSVは、以下のようなハッシュとして解釈されます。
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// test_roman2kana.parameters = utils.readParametersFromCSV('patterns.csv'); // これは、以下のように書くのと同じ test_roman2kana.parameters = { '半角英数': { input: 'aiueo', expected: 'あいうえお' }, '全角英数': { input: 'aiueo', expected: 'aiueo' }, '濁音のみ': { input: 'gagigugego', expected: 'がぎぐげご' }, '濁音混じり': { input: 'nihongo', expected: 'にほんご' }, '音引き': { input: 'po-to', expected: 'ぽーと' }, '拗音': { input: 'kyakkya', expected: 'きゃっきゃ' }, '撥音': { input: 'uwwu-', expected: 'うっうー' }, paren: { input: '\\(\\)\\[\\]\\|', expected: '\\(\\)\\[\\]\\|' }, parenOpen: { input: '\\(\\[', expected: '\\(\\[' }, parenClose: { input: '\\)\\]', expected: '\\)\\]' }, pipe: { input: '\\|', expected: '\\|' } }; |
CSVファイルはRFC4180準拠の形式の読み込みに対応しています。カンマ区切りではなくタブ区切りのファイルを使用したい場合は、utils.readParametersFromTSV()を使用して下さい。どちらも、読み込みたいファイルのパス(相対パスも利用できます)を第1引数に、ファイルのエンコーディングを第2引数に指定します。エンコーディング指定を省略した場合はUTF-8として読み込みます。
以下のリンク先に、各メソッドの詳しい説明があります。
また、JSON形式で保存した外部ファイルを読み込むためのutils.readJSON()というメソッドもあります。
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test_roman2kana.parameters = utils.readJSON('patterns.json');
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こちらも、読み込みたいファイルのパス(相対パスも利用できます)を第1引数に、ファイルのエンコーディングを第2引数に指定します。エンコーディング指定を省略した場合はUTF-8として読み込みます。詳しい説明は以下のリンク先をご覧下さい。
データ駆動テストの仕組みを利用すると、テストのロジックとデータを分離できるため、メンテナンス性が高まることが期待できます。様々なパターンの入力を受け付ける機能を開発する時は、データ駆動テストをぜひ一度試してみて下さい。
プログラムを書いていると問題に遭遇します。問題に遭遇したときはエラーメッセージが問題解決の重要な情報になります。しかし、エラーメッセージがあるだけでは問題解決にはつながりません。問題解決に役立つエラーメッセージとそうでもないエラーメッセージがあります。
ここでは、Rubyでの例をまじえながら問題解決に有用なエラーメッセージを紹介します。ライブラリなど多くの人が使うようなプログラムを作成する場合は参考になるかもしれません。
問題に遭遇してから問題を解決するまでには以下の順で作業をする必要があります。
役立つエラーメッセージがあると「1. 問題の把握」、「2. 問題の原因の調査」、「3. 原因の解決方法の検討」がはかどります。
エラーが発生すれば問題が起こっている事実は把握できます。次にすることは、どのような問題が起こっているかを調査することです。
String#gsubにはいくつかの使い方がありますが、その1つは以下のように正規表現と文字列を引数にする使い方です。
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>> "abcde".gsub(/c/, "C") => "abCde" |
もちろん、違うオブジェクトを渡すとエラーが発生します。
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>> "abcde".gsub([:first], [:second]) TypeError: can't convert Array into String from (irb):2:in `gsub' from (irb):2 |
配列を文字列に変換できなかったといっています。しかし、ここでは引数に配列を2つ指定しています。このエラーメッセージでは「配列を文字列に変換できなかった」ことはわかりますが、「どの配列を文字列に変換できなかった」かはわかりません。
正規表現のリテラルでも、正規表現の構文が間違っている場合はエラーが発生します。
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>> Regexp.new("(") RegexpError: premature end of regular expression: /(/ from (irb):3:in `initialize' from (irb):3:in `new' from (irb):3 |
この場合は「正規表現に問題がある」というだけではなく、「どの正規表現に問題がある」かも示しています。
このように、問題を起こしたオブジェクトの情報も示すことで「問題を把握」しやすくなります。エラーメッセージには、問題を起こしたオブジェクトの情報も含めるようにしましょう。
問題が把握できたら、どうしてその問題が発生したのか、原因を調べます。多くの場合、エラーメッセージに問題の原因は書かれています。しかし、そうではない場合もあります。できるだけ、エラーメッセージには問題の原因も含めるようにしましょう。
Time.iso8601はISO 8601で定められた文字列のフォーマットをパースし、Timeオブジェクトにします。
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>> require 'time' => true >> Time.iso8601("2009-04-10T12:02:54+09:00") => Fri Apr 10 03:02:54 UTC 2009 |
不正なフォーマットの場合はエラーが発生します。
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>> Time.iso8601("2009-04-10I12:02:54+09:00") ArgumentError: invalid date: "2009-04-10I12:02:54+09:00" from /usr/lib/ruby/1.8/time.rb:376:in `iso8601' from (irb):6 |
この例では真ん中あたりの「T」が「I」になっているためフォーマットに適合していません。
もし、「『I』という不正な文字があります」というようなメッセージが入っていると、問題の原因を簡単に把握できるようになります。
エラーメッセージには大雑把な原因だけではなく、できるだけ詳しく原因を書くようにしましょう。
問題の原因がわかったら、その問題を解決する方法を検討します。期待している値がわかると、解決する方法を検討しやすくなります。
String#deleteは1つ以上の引数をとります。1つも引数を与えない場合はエラーが発生します。
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>> "abcde".delete("a") => "bcde" >> "abcde".delete ArgumentError: wrong number of arguments from (irb):2:in `delete' from (irb):2 |
エラーメッセージを見ると「引数の数が違う」ということがわかります。これで「問題の原因」を把握することができます。
しかし、「問題の原因」はわかってもどうすればその問題を解決できるかはわかりません。引数の数を変えればよいということはわかりますが、いくつにすればよいかがわからないのです。
期待している値を示すと、問題を解決しやすくなります。
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>> "abcde".gsub ArgumentError: wrong number of arguments (0 for 2) from (irb):3:in `gsub' from (irb):3 |
このエラーメッセージからはString#gsubが2つの引数を期待していることがわかるので、解決案として「引数を2つ渡す」というアイディアが浮かびます。次にすることは「引数に何を2つ渡すか」を考えることです。
エラーメッセージに「期待していること」を含めると、解決案が浮かびやすくなります。できるだけ、期待していることも含めるようにしましょう。
Rubyを例にして問題解決に役立つエラーメッセージについて紹介しました。
問題解決に役立つエラーメッセージの特長は、テストの実行結果にもあてはまります。クリアコードが開発に関わっているテスティングフレームワークではテストの実行結果にこだわっています。
あなたが使っているテスティングフレームワークは問題解決に役立つような情報を提供していますか?
みなさん、テストしてますか?(挨拶)
UxUでは、テスト失敗時に表示されるスタックトレースからテキストエディタを起動することができます。この時、利用するテキストエディタがコマンドライン引数による行指定に対応していれば、エラーが発生した行を直接開いて編集できます。きちんと設定しておけば、テストを実行して、編集して、またテストして、といったサイクルで開発を進められるので非常に便利です。
以下に、有名なテキストエディタ向けの設定の例をいくつか挙げてみました。UxUの設定ダイアログの「MozUnitテストランナー」タブでエディタ起動用のコマンドとして入力してください。(エディタの実行ファイルのパスは必要に応じて読み替えてください)
なお、%Lは行番号、%Cは列番号、%Fはファイルのパスへと、それぞれ自動的に置換されます。
Firefoxアドオン開発者向け自動テストツールのUxUは、新たに発見したバグの修正にも活用することができます。本日リリースされたXUL/Migemo バージョン0.11.7で行われた修正の場合を例に、実際のデバッグ作業の流れを解説します。
XUL/Migemoは、Firefoxで表示しているページ内のテキストを検索する機能を提供するアドオンですが、検索を開始する際に、「現在のスクロール位置から検索を開始する」という処理を含んでいます。0.11.6以前では、この機能を使用している時に、ページ先頭から検索が始まるべき場面で、先頭以外の場所から検索が始まってしまうことがあるという問題が起こっていました。
いくつか条件を変えて調査した結果、スクロールが発生しているページでは期待通りの結果になっているのに対して、スクロールが全く発生していないページ(ページ全体がウィンドウの現在の大きさの中に収まっているページ)では期待と異なる結果になっていることが判明しました。
前述の処理の肝となっているのは、pXMigemoFindクラスのfindFirstVisibleNode()というメソッドです。このメソッドは、渡されたフレーム(DOMWindow)において現在のスクロール位置で見えている最初の要素を検索して返す物です。このメソッドの戻り値を確認した所、前述の条件下では戻り値が期待と異なっている事が判明しました。
このことから、今回主な修正対象になるのはこのfindFirstVisibleNode()というメソッドであるということになります。
上記メソッドの実装を見直す前に、UxU用のテストケースを作成します。これにより、これから行う修正で目指すべきゴールが明確になります。つまり、このテストが成功する状況まで持って行くことが、今回の修正のゴールとなります。
テストケースはJavaScriptのコードだけで完結する場合もありますが、今回のような場合は実際のWebページを使ってテストを行う必要があります。そこで、問題が発生する条件と発生しない条件の両方の事例としてHTMLドキュメントを用意します。
これらのドキュメントを使い、shortPage.htmlではスクロールが発生せずlongPage.htmlではスクロールが発生する、という条件の下でテストを行うテストケースをこれから作成することになります。
ところで、現在の実装で問題が起こっている場合だけでなく、すでに正常に動いている場合の事例も同時に作成していることに気がついたでしょうか? 両方の場合を常にテストすることで、「ある問題を修正したら、今度は、今までは正常に動いていた物が動かなくなった」という状況、いわゆる後退バグを未然に防ぐことができます。 *1
それではテストケースを作成します。
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utils.include('pXMigemoClasses.inc.js'); var findModule; function setUp() { yield utils.setUpTestWindow(); findModule = new pXMigemoFind(); findModule.target = utils.getTestWindow().gBrowser; } function tearDown() { findModule.destroy(); findModule = null; utils.tearDownTestWindow(); } function testFindFirstVisibleNode() { // ここに実際のテスト内容を記述する } |
pXMigemoFindクラスの単体テストはまだ作成されていなかったので、今回はsetUpとtearDownから作成します。すでに作成済みのテストケースがあり、それにテスト項目を追加する場合、この作業は不要となります。
pXMigemoFindクラスはtabbrowser要素を用いて初期化する必要があるため、setUpでテスト用のFirefoxウィンドウを開き、そのウィンドウのtabbrowser要素で初期化します。また、tearDownではsetUpで開いたテスト用のFirefoxウィンドウを閉じて、pXMigemoFindクラスのインスタンスを破棄します。UxUは関数名を見て自動的にその種類を判別するため、これだけで、これらの関数はテストの初期化処理と終了処理として認識されるようになります。
なお、インクルードしているpXMigemoClasses.inc.jsというファイルは、pXMigemoFindクラスやそのクラスが依存しているすべての関連クラスの定義を読み込む物です。
次に、テストの内容を作成していきます。
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function testFindFirstVisibleNode() { var win = utils.getTestWindow(); win.resizeTo(500, 500); assert.compare(200, '<', utils.contentWindow.innerHeight); // ここに実際のテスト内容を記述する } |
関数名を「test」で始めると、その関数はテストの内容として自動的に認識されます。
最初に、ウィンドウの大きさを調整して、「shortPage.htmlではスクロールが発生せずlongPage.htmlではスクロールが発生する」という条件を整えておきます。ここでは、テスト自体が期待通りの条件下で実行されていることを確認するために、assert.compare()でテスト用フレームの大きさを調べています。
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yield utils.addTab(baseURL+'../res/shortPage.html', { selected : true }); var frame = utils.contentWindow; var node = findModule.findFirstVisibleNode(findModule.FIND_DEFAULT, frame); assert.equals(utils.contentDocument.documentElement, node); item = frame.document.getElementById('p3'); node = findModule.findFirstVisibleNode(findModule.FIND_BACK, frame); assert.equals(item, node); |
テスト用のドキュメントを新しいタブで開き、findFirstVisibleNode()メソッドの返り値が期待通りかどうかを検証します。1つ目の検証は前方検索、2つ目は後方検索です。
同様にして、スクロールが発生する場合のテストも作成します。
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yield utils.addTab(baseURL+'../res/longPage.html', { selected : true }); frame = utils.contentWindow; node = findModule.findFirstVisibleNode(findModule.FIND_DEFAULT, frame); assert.equals(utils.contentDocument.documentElement, node); item = frame.document.getElementById('p10'); frame.scrollTo(0, item.offsetTop); node = findModule.findFirstVisibleNode(findModule.FIND_DEFAULT, frame); assert.equals(item, node); frame.scrollTo(0, item.offsetTop - frame.innerHeight + item.offsetHeight); node = findModule.findFirstVisibleNode(findModule.FIND_BACK, frame); assert.equals(item, node); item = frame.document.getElementById('p21'); frame.scrollTo(0, item.offsetTop - frame.innerHeight + item.offsetHeight); node = findModule.findFirstVisibleNode(findModule.FIND_BACK, frame); assert.equals(item, node); |
スクロールされていない時、ページ途中までスクロールされている時、ページの最後までスクロールされている時の各ケースで前方検索と後方検索を行い、結果を検証します。
ここで、かなりの部分のコードが重複していることに気がついたでしょうか。このような場合、それぞれの検証の前で重複しているコードと検証とをひとまとめにして実行する関数(カスタムアサーション)を定義しておくと、テスト項目の追加が簡単になります。以下は、カスタムアサーションを使ってここまでのテスト内容を書き直した物です。
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function testFindFirstVisibleNode() { var win = utils.getTestWindow(); win.resizeTo(500, 500); assert.compare(200, '<', utils.contentWindow.innerHeight); function assertScrollAndFind(aIdOrNode, aFindFlag) { var frame = utils.contentWindow; var item = typeof aIdOrNode == 'string' ? frame.document.getElementById(aIdOrNode) : aIdOrNode ; frame.scrollTo( 0, (aFindFlag & findModule.FIND_BACK ? item.offsetTop - frame.innerHeight + item.offsetHeight : item.offsetTop ) ); var node = findModule.findFirstVisibleNode(aFindFlag, frame); assert.equals(item, node); } yield utils.addTab(baseURL+'../res/shortPage.html', { selected : true }); assertScrollAndFind(utils.contentDocument.documentElement, findModule.FIND_DEFAULT); assertScrollAndFind('p3', findModule.FIND_BACK); yield utils.addTab(baseURL+'../res/longPage.html', { selected : true }); assertScrollAndFind(utils.contentDocument.documentElement, findModule.FIND_DEFAULT); assertScrollAndFind('p10', findModule.FIND_DEFAULT); assertScrollAndFind('p10', findModule.FIND_BACK); assertScrollAndFind('p21', findModule.FIND_BACK); } |
テストケースが完成したら、テストを実行してみましょう。実装の修正前なので、当然、このテストは「失敗」という結果が出ます。ですが、この段階では問題ありません。これから、このテストの結果が「成功」になることを目指して実装を修正していきます。
実装の修正内容については省略します。良いアイディアを思いついたら、それを実装に反映して、再度テストを実行してみましょう。テストに成功しないようであれば、まだ修正が必要です。
何度テストを実行しても結果が「成功」になるようになれば、実装の修正はひとまず完了です。修正内容をリポジトリにコミットするなり、修正済みの新しいバージョンとしてリリースするなりしましょう。
以上で、今回発見された問題の修正は完了しました。
しかし、上記のテストだけではテストしきれないような、より複雑な条件でだけ発生するバグが新たに見つかるかもしれません。そのような場合は、テストを新たに追加して、それらがすべて「成功」するようになるまで修正してやりましょう。その時はもちろん、他のテストも同時に実行することを忘れないようにしましょう。
また、開発を進める中で、他の部分に加えた変更の影響を受けて上記のテストが失敗するようになることがあるかもしれません。そのような場合、再びテストが通るようになるように実装を修正する必要があります。
実装の仕様を変更した時にも、ここで作成したテストケースは「成功」しなくなる場合があります。このような場合は「ゴール」自体が変わったということになりますので、実装ではなくテストケースの側を修正しなくてはなりません。
自動テストを使った開発では、メンテナンスする必要があるコードが「実装」と「テストケース」の2つになるため、一見すると、手間だけが倍増するように思えるかもしれません。
しかし、一連のテスト手順を自動化しておくことで、人の手によるテストでは見落としてしまいかねない思わぬ後退バグの発生に迅速に気づけるようになります。後退バグの発生に日々頭を悩ませている人は、是非、自動テストを開発に取り入れてみてください。
*1 もちろん、後退バグの発生自体は未然には防ぎきれません。しかし、後退バグの発生にすぐ気がつくことができれば、コミットやリリースの前にその後退バグを修正できるため、他の共同開発者やユーザには後退バグの影響を与えずに済むようになります。
Firefox用アドオンやXULRunnerアプリケーションなどのいわゆるXULアプリケーションは、ロジック部を主にJavaScriptで記述するため、script.aculo.usのテスト関連機能などJavaScript用のテストツールを使って自動テストを行えます。しかし、一般的なJavaScript用のテストツールはWebアプリケーションをテストすることを主眼において開発されているため、利用できる機能に制限があったり、HTMLではなくXULを使用するXULアプリケーションのテストでは不具合が生じたりする場合があります。
UxU(UnitTest.XUL)は、著名なXULアプリケーション開発支援ツールであるMozLabをベースにクリアコードで開発を行っている自動テスト実行ツールです。FirefoxやThunderbirdなどのXULアプリケーション上での利用を前提としているため、前述のような制限や問題を気にすることなく自動テストを記述できる、便利なヘルパーメソッドを利用できる、などの特長があります。
テストの記述方法やヘルパーメソッドの一覧はUxUの紹介ページに情報がありますが、ここではFirefox用アドオンのXUL/Migemoのテストを実例として示しながら、UxUによる自動テストの方法について簡単にご紹介をしたいと思います。Subversionのリポジトリ内にテストのサンプル用に用意されたタグがありますので、まずはこちらから必要なファイル一式をチェックアウトしておいてください。
まずは最も簡単な例として、「tests」→「unit」とフォルダを辿った中にあるdocShellIterator.test.jsを見てみましょう。
XUL/MigemoはFirefoxのページ内検索を拡張するアドオンですので、フレーム内に検索語句が見つからなかったときは、子フレームや親フレームを検索対象として自動的に再検索を行うといった処理が必要になります。docShellIterator.test.jsでは、このための処理を担当するクラス「DocShellIterator」が正しく機能するかどうかをテストしています。
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utils.include('../../components/pXMigemoFind.js', null, 'Shift_JIS'); |
冒頭では、ヘルパーメソッドのutils.includeを使って、DocShellIteratorクラスが定義されているファイルpXMigemoFind.jsの内容を取り込んでいます。第3引数で読み込むファイルのエンコーディングを指定していますが、これはファイルの中に含まれる日本語のコメントがShift_JISになっているためです。
なお、何らかの事情でそのままファイルをincludeできない(includeするとまずい)場合には、ファイルの内容をテキストとして読み込んで加工した後に評価するという方法もあります。上の例は、以下のように書き換えても同様に動作します。
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var extract; eval('extract = function() { '+ utils.readFrom('../../components/pXMigemoFind.js') + '; return DocShellIterator }'); var DocShellIterator = extract(); |
utils.readFromはファイルの内容を文字列として返しますので、replaceなどを使って邪魔な部分を消してやれば、そのままではincludeできないファイルから必要な部分だけを取り出して評価できます。
このファイルにはテストケースが一つだけ定義されています。テストの前処理(setUp)と後処理(tearDown)は以下の通りです。
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var DocShellIteratorTest = new TestCase('DocShellIteratorのユニットテスト'); DocShellIteratorTest.tests = { setUp : function() { yield Do(utils.loadURI('../res/frameTest.html')); }, tearDown : function() { iterator.destroy(); yield Do(utils.loadURI()); }, |
setUpとtearDownは、それぞれのテストを実行する前と後に毎回実行されます。このテストケースでは、テスト実行前に「テストに使用するフレームにHTMLファイルを読み込む」という処理を行い、テスト終了後に「フレームに空のページを読み込んで内容を破棄する」という処理を行うことで、毎回必ずクリーンなテスト環境を準備するようにしています。
setUpの中では、「フレームに指定したページを読み込み、読み込みが完了するのを待って次に進む」といった処理待ちを行うために、ヘルパーメソッドとyield式を使用しています。yieldは本来はJavaScript 1.7で導入されたジェネレータのための物ですが、UxUではこれを応用して処理待ちを実現しています。JavaScriptで処理待ちというと、タイマーやonloadのようなイベントハンドラを使う方法が真っ先に思い浮かぶと思いますが、yield式を使用すれば、それらの場合に比べて処理の流れをフラットに記述することができます。
個々のテストの定義を見てみましょう。以下のテストでは、DocShellIteratorクラスのインスタンスを生成して、検索対象のフレームを移動する処理を実際に行い、処理結果が期待されたものと等しいかどうかをテストしています。
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'前方検索': function() { // 1番目のフレームを初期状態としてインスタンス生成。 iterator = new DocShellIterator(content.frames[0], false); // 初期化は成功したか? assert.initialized(iterator, content.frames[0]); // 次のフレームに移動するメソッドを実行。 assert.isTrue(iterator.iterateNext()); // フォーカスは正常に2番目のフレームに移動したか? assert.focus(iterator, content.frames[1]); assert.isFalse(iterator.isInitial); // もう一度フレームを移動。 // 3番目のフレームは無いので、一巡して最上位のフレームにフォーカスする。 assert.isTrue(iterator.iterateNext()); // フォーカスは正常に最上位のフレームに移動したか? assert.focus(iterator, content); assert.isFalse(iterator.isInitial); // もう一度フレームを移動。1番目のフレームに戻る。 assert.isTrue(iterator.iterateNext()); // フォーカスは正常に1番目のフレームに移動したか? assert.focus(iterator, content.frames[0]); }, |
処理が成功したかどうかを確認する手続きを、アサーション(宣言)と呼びます。assert.isTrue、assert.isFalse、assert.equalsなどのアサーション用ヘルパーメソッドは、実行されると渡された値を評価します。実際に渡された値が期待された値と等しければそのまま処理を続行しますが、値が異なっていた場合は「アサーションに失敗した」という内容の例外を発生させてテストの実行が中断されます。これらの例外やメソッド実行時に発生した未知の例外はUxUのインターフェース上に逐次表示され、例外が発生した行のスタックトレースを後で辿ることができるため、どの時点で問題が起こったのか、どこまでは予想通りに正常に動いたのかを詳しく調べてデバッグに役立てられます。
UxUのページのアサーション一覧にないassert.initializedやassert.focusはこのテスト専用に定義したカスタムアサーションです。その実体は、このファイルの冒頭でassertオブジェクトに追加されている新しいメソッドで、以下のように、内部でより単純なアサーションを複数行っています。
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assert.focus = function(aIterator, aFrame) { assert.equals(aFrame.location.href, aIterator.view.location.href); assert.equals(aFrame, aIterator.view); assert.equals(aFrame.document, aIterator.document); assert.equals(aFrame.document.body, aIterator.body); var docShell = getDocShellFromFrame(aFrame); assert.docShellEquals(docShell, aIterator.current); assert.isTrue(aIterator.isFindable); } |
複数の条件を満たしているかどうかを確認する必要がある場合、そのままテストを記述すると、同じコードがテストケースの中に大量に並んでしまいます。そういった一連の処理はカスタムアサーションとしてまとめておけば、テストケースの内容を綺麗に見やすくできます。
テストの実行は、MozRepl互換のUxUサーバを起動してコンソールから接続して行うか、MozUnit互換のテストランナーを起動して行います。「ツール」メニューから「UnitTest.XUL」→「MozUnitテストランナー」と辿り、テスト実行用のGUIを起動します。
UxUのテスト実行用GUIは、テストケースのファイルのドラッグ&ドロップを受け付けます。実行したいテストのファイル(docShellIterator.test.js)をウィンドウにドラッグ&ドロップすると「作業中のファイル」欄のファイルのパスがドロップされたファイルのものになりますので、後は「実行」ボタンを押すだけで自動テストを実行できます。
テストの現在の実行状況はプログレスメーターで表示されます。アサーションに失敗したり予期しないエラーが起こったりするとプログレスメーターが赤くなりますが、正常にテストが成功すれば緑色のままです。すべてのテストケースの実行結果が緑となることを目指して開発や修正を進めていきましょう。
このように、一連の処理と期待される結果をまとめておき、自動的にテストできるようにしておくと、開発した機能がきちんと動作しているかどうかを人手を煩わさず機械的に確かめられます。一通りのテストケースを作成するにはそれなりの手間と時間を要しますが、一度作成しておけばテストは何度でも簡単に実行できますので、うっかりミスによるエンバグを未然に防ぐ*1ことができます。
Firefox用のアドオンはFirefox自身が持っている機能と連携して動作するように作られることが多く、自動テストを作るのはなかなか大変です。UxUには処理待ち機能をはじめとした多くの便利な機能があり、「このような操作を行った時に、こういう結果になる」といった人間の操作をシミュレートする形の複雑なテストでも、処理の流れを追いやすい形で記述できます。Firefox用アドオンの自動テスト作成にはまさにうってつけと言えるでしょう。
*1 エンバグしてしまってもすぐにそれに気がつくことができる