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Firefoxの技術書「Firefox Hacks Rebooted」

オライリーより、Firefoxの高度な使い方からアドオン開発のノウハウ、新しいWeb技術まで手広く解説・紹介する書籍「Firefox Hacks Rebooted」が、2011年10月26日に発売されました。弊社でMozillaサポート事業に従事している下田も執筆者の一人として名を連ねています。

Firefox Hacks Rebooted ―Mozillaテクノロジ徹底活用テクニック
浅井 智也/池田 譲治/小山田 昌史/五味渕 大賀/下田 洋志/寺田 真/松澤 太郎
オライリージャパン
¥ 16,482

内容が多岐に渡るため、「こういう人に読んでもらいたい!」という想定読者が章ごとにそれぞれ異なるのですが、全体を見た時の内容の充実度からは、Firefox用アドオンの開発に関心がある方に特にお薦めと言えるでしょう。そこでこの記事では、開発者視点から本書の見所をいくつか紹介します。

Vimperator vs KeySnail

目次を順番に眺めて目を引くのは、2章におけるVimperatorとKeySnailの解説でしょう。VimとEmacsといえば開発者が使う開発環境の二大巨頭で、よくエディタ戦争のネタにもされますが、本書の2章でも、Vimを模したVimperatorとEmacsを模したKeySnailの戦争が繰り広げられています。

……というのは冗談なのですが、Vimperator開発メンバーの一人であるteramakoさんがVimperatorを、KeySnailの作者であるmoozさんがKeySnailをそれぞれ解説し、最後に二人がそれぞれの設計思想の違いを解説するという構成になっていて、こと両アドオンの解説記事としてはこれ以上無い豪華な内容と言えるでしょう。開発者自らによる解説という事で、内容の信頼性の高さも折紙付です。

快適な開発生活を送る上では、効率の良い情報収集や情報発信の方法を知る事も大切です。また、情報は発信する人の所に集まるとも言います。最新の技術へのフォローを欠かす事ができない開発者の人達にとっても、この章の内容は役立つのではないでしょうか。

Add-on SDKでのアドオン開発

3章は、FireGesturesなどの作者としても知られるGomitaさんによるAdd-on SDKの解説です。基礎概念の解説に始まり、少しずつ機能を付け足しながら実際に1つのアドオンを完成させるまでの過程をチュートリアル形式で紹介する事により、Add-on SDKを使ったアドオン開発の一通りの流れを理解する事ができます。

Firefox 4以降のバージョンでは高速リリースが採用された事により、従来の形式のアドオンの開発スタイルだとFirefoxの更新に追従するだけでも大変という状況になっています。Add-on SDKはFirefoxのバージョン間の違いを吸収する層としての働きも備えているため、これから新たにアドオンを開発する場合はSDKを利用した方が良いと言えますが、本章はそのファーストステップとして最適でしょう。

また、後の章にはHTML5関連技術などの新しいWeb標準技術の解説もあります。それらを組み合わせる事によって、SDKが提供している機能を超えた様々な事が実現できるようになります。本書は話題が多岐に渡っていますので、全体を通読する中でそういった発展に繋がるヒントを得やすいのではないでしょうか。

Add-on SDKの枠を超えたアドオン開発

弊社所属の下田は、4章と6章の一部として、SDKに依らない・より低層の部分に関する技術情報を寄稿しています。

4章では、再起動のいらないアドオンを、これまでの一般的なアドオン開発の延長線上にある物として捉えた上で、これまで通りにできる事とそうでない事とを整理して、それらに対する対策となる様々なテクニックを紹介しています。

また、プロセス分離型の設計に移行していくにあたって、そもそもFirefoxではどのようにプロセスの分離が実現されているのかを理解し、プロセスが分離された環境ではどのような事に気をつけなくてはならないのかについても解説しています。

SDKの枠を超えた開発を行いたい時や、SDKに含まれている標準ライブラリの中で行われている事を理解したい時などには、各要素技術への理解が必要になってきます。そういった場合も、この章の情報が手がかりとなるかも知れません。

その他にも、非同期処理の記述を支援する軽量ライブラリ「JSDeferred」のFirefox上での活用事例や、CPUの使用率とメモリの使用量を表示するFirefoxアドオン「システムモニター」でも利用している、C言語で開発されたプラットフォームネイティブのライブラリをJavaScriptから透過的に利用する技術「js-ctypes」の解説(6章に収録)など、SDKベースでの開発にも応用可能な情報もあります。

Webでは断片的にしか得られない情報のまとめ&発展として

本書には、Web上にあるFirefoxの断片的な情報を取っ掛かりとして、それらをさらにもう1段階・2段階と掘り下げた情報が多数収録されています。自分で情報を探そうとして挫折した方、見つけた情報が中途半端で途方に暮れてしまった方など、表面的な情報よりももっと本質的な情報を求めている方にお薦めと言えるでしょう。

なお、本書の目次各章のサンプルがWebで公開されています。Firefoxのヘビーユーザーの方やアドオン開発者の方は、役立つトピックが含まれているかもしれませんので、興味を持たれた際には是非一度目を通してみて下さい。

タグ: Mozilla

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2011-11-02

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