ククログ

The dRuby Book

2012年3月にdRuby作者がdRubyについて解説するという内容の本の翻訳(日本語から英語への翻訳)がThe Pragmatic Bookshelfから出版されました。

https://amazon.co.jp/dp/9781934356937

内容は原書の「dRubyによる分散・Webプログラミング」とストリーム指向のストレージDrip - +bを合わせた感じです。そのため、英語より日本語の方が得意な人は原書(日本語)とDripの話を読む方がよいでしょう。

https://amazon.co.jp/dp/9784274066092

参考: dRubyによる分散・Webプログラミング(関 将俊) - ただのにっき(2005-08-13)

もし、まわりに日本語より英語の方が得意な人がいて、その人にdRubyを紹介したいときに使えるのがThe dRuby Bookです。

説明のしかた

このdRubyの本はirbを使ってdRubyのことを説明していきます。このスタイルはdRubyを説明するときの正統派スタイルと言われています。irbを使ってRubyのオブジェクトを触りながら説明する方法はとても直感的です。1つ1つの操作で何が起こるのかを確認しながら進められるからです。困ったときはRubyに助けを求めることもできます1。なお、札幌Ruby会議02でのライブコーディングでirbを使いましたが、これは、このdRubyの本から影響を受けた結果です。

irbを使って説明することで、複雑なはずの分散処理が直感的にわかります。この本では、複数の端末でirbを起動し、その端末間で分散処理を試しながら説明をします。例えば、片方の端末でデータ待ちの状態にします。その後、もう一方の端末からデータを送ります。すると、データを待っていた最初の端末がデータを受け取って動き出します。

それぞれの操作は自分でメソッドを呼び出すことになるので、その様子を1つずつ確認し、自分のペースで理解していくことができます。もしピンとこなかったら、そこで寄り道していろいろオブジェクトを触って疑問に思ったところを調べることだってできます。

まとめ

dRuby本の翻訳版(英語)と原書(日本語)を紹介しました。

irbでオブジェクトを触りながら理解していくということを体験してみてください。楽しかったら他の人にも紹介してみるとよいでしょう。英語が得意な人には翻訳版を、日本語が得意な人には原書を勧めるとよいでしょう。

すでに原書を読んだ人でも、英語も読めて、咳さんに興味のある人なら翻訳版も読んでみるのもよいでしょう。あの咳さんがRubyGemsを使っていることに驚くことでしょう。ただし、原書にあった「ここは不思議に思って欲しいところです」という脚注2が翻訳版にはないというのは残念に思うでしょう。

  1. 例えば、object.methodsとすれば使えるメソッドを教えてくれます。

  2. 「なんてね」にも通じる咳さんらしい脚注と言える。